今年正月より勝手にノルマ、月に一度は必ず落語鑑賞。今月も何とか叶うこと出来ました。ありがてぇな〜!
まずは、当夜のプログラムはこちら
●「いらち俥」桂佐ん吉
●「時うどん」林家笑丸
●「松山鏡」 林家笑丸
(中入)
●「和楽器演奏」植木陽史(三味線奏者・ゲスト)
●「崇徳院」 林家笑丸 (敬称略)
今年芸歴10周年を迎えられた林家笑丸さんとは、以前とある場所でおめにかかったご縁があって、6月の独演会はぜひ伺いますとお約束していた。しかし、従来の「座ブタ」である。チケットは当日2日前まで発売される前売券を期限ギリギリでも多分間に合うだろうと踏みながら、独演会より数日前に一応確認をとると、何とチケットは既に完売であるとのこと。ああ、なんと見くびってしまったのだろう、と後悔の念にかられた当日の午前である。繁昌亭にご一緒するはずだった方より電話が入り、
「チケット完売言うてたやつ。アレ、ちょっとだけまだ余ってるねんて。笑丸さんがちょっと数え間違いしてはったみたいやねん」
誠にほがらか、のんきな連絡であった(笑)。けれどもこれ幸いで、この夜、会場に伺うことかなった。
雨の「天満天神繁昌亭」。にも関わらず午後6時00分の開演前より長蛇の列。開場時間には場内、立ち見が出るほど大盛況。「前売完売」は数え間違いでも、林家笑丸さん自身のファンはもちろん、上方落語、相変わらずの関心の高さが伺えて、期待の熱気あふれる雰囲気がすでに出来上がっていた。
開口一番。桂吉朝門下の新鋭・桂佐ん吉さんの「いらち俥」。非常に若々しい快調なすべり出しで、噺に登場する伝法な人力車夫同様、勢いのある高座で、当夜の主役へ繋いでいく。
「時うどん」に「松山鏡」。2本立て続け。紋付袴姿、1本を演じ終えたところで一応楽屋に引っ込み、再び出囃子2本目は、紋付の上に羽織を重ねて、一人膝代わり。
前者はお馴染み、『ひとつ、ふたつ、みっつ…(中略)…うどん屋、今、何時(なんどき)や」。後者はタイトル通り、舞台は現在の愛媛・松山の、遠い遠い、まだ「鏡」というシロモノや概念すらもなかった時代のお話。村に初めて伝わってきた、鏡というものに映る己の姿を眺めながらも、そこに映るのは「一体、アンタ誰やねん?」が、村民の、若者であり、老人たちでありと、それぞれの小話を一本にまとめあげた演目。「時うどん」も然りだが、どちらも登場人物の天然ぶりが巻き起こす珍スケッチ物。この「珍」なるところはいくらでもクドく演じ上げたり、色んな「遊び」を取り入れたりと、時間的にもボリュームアップが可能な2題。そこをあえて、整理出来るところは整理して、新しい試み(演出)が組み込める部分は大いに取り入れたりと、バラエティな工夫が。
ただ、「整理し過ぎた」のかやや、小ざっぱりし過ぎたようにも感じられて、そこらあたりの兼ね合いも今後の課題ではなかったかと。ともあれ、いずれも個性豊かな登場人物のオンパレード。その辺りの演じワケというか、さまざまな声色や表情を駆使しつつ、初心者にも分かりやすい語り口で演じられたのは流石。早い話が、特に「年寄り」などの雰囲気は、ドリフなどのコントチックでもあり、まだ30代の若き主役、やはりテレビっ子世代を代表する落語家さんではないでしょうか。
前半2題は小ざっぱりと評してしまいましたが、後半の「崇徳院」はたっぷり、じっくり。恋煩いの若旦那を支える、「手伝いの熊はん」が『せおはや〜み〜!』と高津さん(神社)で出会い一目ボレ、見知らぬ相手の娘さん探しに東奔西走。
この「熊はん」、ベテランが演じれば、若旦那より年上のまさに「てったい」さんであるところも、笑丸さんが演じる分には、もちろん設定は「年上の熊はん」なのだが、いかにも「若旦那と同世代の熊はん」という感じ。しかし、これが、若旦那と熊はん、身分は違えども、互いが信頼しあう「友情物語」風にも垣間見えて、妙に新鮮な味わい。「若き熊はん」の侠気が十二分に伝わってきた。
ゲストには三味線奏者で和楽器演奏集団「独楽」のリーダーとしても活躍の植木陽史さん。お初である。なので、従来の舞台では、おそらく椅子に座りながらの演奏のはずも、今回は寄席に合わせて、座布団のうえで、いわゆる「俗曲」のような、つまりは「高座」。といっても、決して寄席芸人さんではないので話術という点では、ご本人ももちろん承知のはずの「拙さ」であったが、逆にこれが非常に初々しい。
客席のお客さんとやりとりも豊富で、もしこれが寄席芸人さんなら「客いじり」と悪い言葉になってしまうところも、寄席という「ホーム」のお客が、「アウェイ」の演者さんを迎え入れながら「イジられている」温かさもあって、和やかな彩りに。奏でる三味線が、義太夫の「太棹」。落語家の大喜利で演じられる「豊竹屋」…あ、ビールのようでビールでない!(ベンベン)である。このベンベンは、義太夫のパロディであり、太棹三味線の音色を表している。中棹同様、落語や寄席とも縁の深い三味線なのである。
ちなみに植木さんの高座によると、寄席囃子などで奏でられる三味線は「中棹」で、三味線の皮は、ご存知の通り「猫」のもの。なので太棹もそうかと思いきや、なんとそちらは「犬の背中」が用いられているのだそうだ。また、猫皮の中棹は、表面に4つの点々。確かにあるなと、さらに伺ってるところ、その点々は「猫の乳」なのだそうだ。
三味線演奏には初心者の、我々のようなお客にもキチンと分かりやすい薀蓄も居り込みながら、笑丸さんともほぼ同世代、共に、新たな観客層を取り込もうとする意気込みは、客席から見ていても清々しいものであった。
やわらかなおしゃべりが一転、太棹ながら軽やかな「沖縄民謡」や、当夜オリジナルの「天満天神繁昌亭の曲」、そして待ってましたの、バチさばきが唸った「津軽じょんがら」…。
何やかやのドタバタで入手出来たチケットのおかげで、思わぬめっけもんの至芸を堪能させてもらった。
まずは、当夜のプログラムはこちら
●「いらち俥」桂佐ん吉
●「時うどん」林家笑丸
●「松山鏡」 林家笑丸
(中入)
●「和楽器演奏」植木陽史(三味線奏者・ゲスト)
●「崇徳院」 林家笑丸 (敬称略)
今年芸歴10周年を迎えられた林家笑丸さんとは、以前とある場所でおめにかかったご縁があって、6月の独演会はぜひ伺いますとお約束していた。しかし、従来の「座ブタ」である。チケットは当日2日前まで発売される前売券を期限ギリギリでも多分間に合うだろうと踏みながら、独演会より数日前に一応確認をとると、何とチケットは既に完売であるとのこと。ああ、なんと見くびってしまったのだろう、と後悔の念にかられた当日の午前である。繁昌亭にご一緒するはずだった方より電話が入り、
「チケット完売言うてたやつ。アレ、ちょっとだけまだ余ってるねんて。笑丸さんがちょっと数え間違いしてはったみたいやねん」
誠にほがらか、のんきな連絡であった(笑)。けれどもこれ幸いで、この夜、会場に伺うことかなった。
雨の「天満天神繁昌亭」。にも関わらず午後6時00分の開演前より長蛇の列。開場時間には場内、立ち見が出るほど大盛況。「前売完売」は数え間違いでも、林家笑丸さん自身のファンはもちろん、上方落語、相変わらずの関心の高さが伺えて、期待の熱気あふれる雰囲気がすでに出来上がっていた。
開口一番。桂吉朝門下の新鋭・桂佐ん吉さんの「いらち俥」。非常に若々しい快調なすべり出しで、噺に登場する伝法な人力車夫同様、勢いのある高座で、当夜の主役へ繋いでいく。
「時うどん」に「松山鏡」。2本立て続け。紋付袴姿、1本を演じ終えたところで一応楽屋に引っ込み、再び出囃子2本目は、紋付の上に羽織を重ねて、一人膝代わり。
前者はお馴染み、『ひとつ、ふたつ、みっつ…(中略)…うどん屋、今、何時(なんどき)や」。後者はタイトル通り、舞台は現在の愛媛・松山の、遠い遠い、まだ「鏡」というシロモノや概念すらもなかった時代のお話。村に初めて伝わってきた、鏡というものに映る己の姿を眺めながらも、そこに映るのは「一体、アンタ誰やねん?」が、村民の、若者であり、老人たちでありと、それぞれの小話を一本にまとめあげた演目。「時うどん」も然りだが、どちらも登場人物の天然ぶりが巻き起こす珍スケッチ物。この「珍」なるところはいくらでもクドく演じ上げたり、色んな「遊び」を取り入れたりと、時間的にもボリュームアップが可能な2題。そこをあえて、整理出来るところは整理して、新しい試み(演出)が組み込める部分は大いに取り入れたりと、バラエティな工夫が。
ただ、「整理し過ぎた」のかやや、小ざっぱりし過ぎたようにも感じられて、そこらあたりの兼ね合いも今後の課題ではなかったかと。ともあれ、いずれも個性豊かな登場人物のオンパレード。その辺りの演じワケというか、さまざまな声色や表情を駆使しつつ、初心者にも分かりやすい語り口で演じられたのは流石。早い話が、特に「年寄り」などの雰囲気は、ドリフなどのコントチックでもあり、まだ30代の若き主役、やはりテレビっ子世代を代表する落語家さんではないでしょうか。
前半2題は小ざっぱりと評してしまいましたが、後半の「崇徳院」はたっぷり、じっくり。恋煩いの若旦那を支える、「手伝いの熊はん」が『せおはや〜み〜!』と高津さん(神社)で出会い一目ボレ、見知らぬ相手の娘さん探しに東奔西走。
この「熊はん」、ベテランが演じれば、若旦那より年上のまさに「てったい」さんであるところも、笑丸さんが演じる分には、もちろん設定は「年上の熊はん」なのだが、いかにも「若旦那と同世代の熊はん」という感じ。しかし、これが、若旦那と熊はん、身分は違えども、互いが信頼しあう「友情物語」風にも垣間見えて、妙に新鮮な味わい。「若き熊はん」の侠気が十二分に伝わってきた。
ゲストには三味線奏者で和楽器演奏集団「独楽」のリーダーとしても活躍の植木陽史さん。お初である。なので、従来の舞台では、おそらく椅子に座りながらの演奏のはずも、今回は寄席に合わせて、座布団のうえで、いわゆる「俗曲」のような、つまりは「高座」。といっても、決して寄席芸人さんではないので話術という点では、ご本人ももちろん承知のはずの「拙さ」であったが、逆にこれが非常に初々しい。
客席のお客さんとやりとりも豊富で、もしこれが寄席芸人さんなら「客いじり」と悪い言葉になってしまうところも、寄席という「ホーム」のお客が、「アウェイ」の演者さんを迎え入れながら「イジられている」温かさもあって、和やかな彩りに。奏でる三味線が、義太夫の「太棹」。落語家の大喜利で演じられる「豊竹屋」…あ、ビールのようでビールでない!(ベンベン)である。このベンベンは、義太夫のパロディであり、太棹三味線の音色を表している。中棹同様、落語や寄席とも縁の深い三味線なのである。
ちなみに植木さんの高座によると、寄席囃子などで奏でられる三味線は「中棹」で、三味線の皮は、ご存知の通り「猫」のもの。なので太棹もそうかと思いきや、なんとそちらは「犬の背中」が用いられているのだそうだ。また、猫皮の中棹は、表面に4つの点々。確かにあるなと、さらに伺ってるところ、その点々は「猫の乳」なのだそうだ。
三味線演奏には初心者の、我々のようなお客にもキチンと分かりやすい薀蓄も居り込みながら、笑丸さんともほぼ同世代、共に、新たな観客層を取り込もうとする意気込みは、客席から見ていても清々しいものであった。
やわらかなおしゃべりが一転、太棹ながら軽やかな「沖縄民謡」や、当夜オリジナルの「天満天神繁昌亭の曲」、そして待ってましたの、バチさばきが唸った「津軽じょんがら」…。
何やかやのドタバタで入手出来たチケットのおかげで、思わぬめっけもんの至芸を堪能させてもらった。
≪京都府相楽郡南山城村移住20周年記念・河内家菊水丸 平成20年度盆踊りツアー出陣式(京都・南山城村〜やまなみホール)
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