「さてはトコトン菊水丸」(MBSラジオ/2008年7月4日放送)、『トコトン生ゲスト』は毎日放送アナウンサー・松井昭憲さんご来場。普段が月曜から木曜までの12時台のニュース担当。また、夕方の「ノムラでノムラだ♪」(MBSラジオ/毎週月〜木曜昼3時45分〜夕方5時23分放送)の、4時・5時台のやはりニュースを担当。なので、ラジオでは久々のフリートーク、「松ちゃん節」。
「さてトコ」に関しては、スペシャルウィークなど特別なコーナーが立て込んだりすると時間が押したりしてそのトバッチリを、12時台のニュースは食ってしまうことになる。通常約5分30秒の持ち時間が、その都度、調整ほどこさなければならないそうで、ということはと、普段ラジオを聴いていても「大丈夫かいな」と思わず心配してしまう舞台裏では、さすがアナウンサー生活約40年の大ベテラン。「あのニュースを削って、このニュースを数秒で収めて」と事前の時間調整も、どうやらお手の物だそうで…(笑)。
松井アナ…と昔ならこれで通じたが、今はアナ室に松井愛アナウンサーも在籍されているので、松井昭憲アナ、とフルネームでお呼びしなければならないが、ここでは敢えて、松井アナ。今は渋く、「では、為替と株の動きです」とやっておられるが、以前はラジオにテレビに、タレント顔負けの話芸話術で大活躍。なかでも一番好きだったのは、今回のお話にも出た、往年の人気ラジオ番組「こちらベスト歌謡曲」で毎回、演じていた、『小林旭のものまね』。聴取者から送られてきたハガキのリクエスト曲を、「小林旭が歌ったら」とやって大評判。ほかにも「石原慎太郎」や「長嶋茂雄」なども十八番で、平日お昼の番組、夏休みや、家族でのドライブには必ずこれを聴いておりました…なので「マイクを持った〜」、今回はアキラ風。「〜渡り鳥」というのも、「あどりぶランド」(毎日放送)に出演されていたころ、一旦、アナウンス室から「広報室」への移動を経て、「昔の名前で出ています」と再びアナ復帰。サラリーマン人生が、そのままマイトガイならぬ「マイクガイ」なのであられます(ちなみに背景は、アナブログより勝手に拝借…マズかったかもしれない 笑)。
ほかにもテレビは「僕らは怪しいサラリーマン」(毎日放送)。上岡龍太郎さんをメインパーソナリティに、『放送局』を舞台にしたバラエティ。毎週、松井アナのほかに当時若手だった嘉門達夫さんたちが、「こんな番組、企画しました」などと色んなロケVTRを紹介。言うなれば、『探偵局』に舞台を置き換えた今の「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送/1988年〜)、その原型といえるのが、こちらの番組。
このなかで評判だったのが『最終電車でジャンケンポン!』コーナー。終電間際の色んな駅まで出向き、達夫さんたちとサラリーマンがジャンケン勝負。負ければそのまま電車、勝てば高級ベンツでお見送り。この番組で初めて、ラジオ(ヤングタウン)でしか知らなかった達夫さんの、ビジュアルを知ることに。ほかにも確か、エッチな企画なども放送されていたよなぁとおぼろげな記憶も、
「そういえば、スタジオに舞台をこしらえて、当時人気の踊り子さんにストリップを踊ってもらいました…ホンマ、怪しかったですねぇ(笑)」
そうそう、やっぱり!(笑)。毎週木曜の深夜放送…といっても、11時15分か、30分ぐらいで、今ではすっかりゴールデンの延長と化した時間帯ですが、何せ裏番組は、藤本義一氏司会の「11PM」(読売テレビ/1966〜1990年)。なので、過激企画を競い合ってのか…と思いきや、対する木曜イレブンは、読売テレビと系列地方局と共同制作が多く、過激企画は他曜日に任せといて、木曜日は、各地の伝統文化などを紹介していたので、そんなにイヤらしくなかった。それよりも、「僕ら〜」の方は、うんと「怪し」くて、過激路線のみならず、上岡さんの毒舌芸に触れたのも最初がこの番組だったと思います。何せ、当時、買ってもらったか譲ってもらったか、我が部屋用に14インチのテレビを導入し、そのテの番組は、こっそりひっそり(笑)。
ほどなくして、「オモロイで」と友人にその評判を聞いて、「MBSヤングタウン」…ラジオに鞍替えして、笑福亭鶴光・角淳一の名コンビに。
とにかく、松井アナにしても角さんにしても、まさかこの人、ホンマにアナウンサー!?…そんな名人達者なアナウンサーが毎日放送には多かった。今も活躍の、近藤光史さん、野村啓司さんもそう。何せ、共演の芸人さんとは丁丁発止。けれども抑えるところはキチンとアナウンサー職で、関西言葉もコンちゃんを除けば(笑)、当たりが柔らかかった。元々、毎日放送には、まず「ヤンタン」や「ヤングおー!おー!」でスターアナの座を欲しいままにしていた斎藤努さんの都会的な路線があって、それに「よっしゃ、ほなオレは標準語以外で勝負したる」と鼻息を巻いたのが、生まれも育ちもまるまま大阪、後輩の角さん。標準語絶対体制と戦いながら、以後、その一大路線が確立し現在に至る格好でありますが、ただ、今の若手アナウンサーと決定的に違うのは、まずは基本のアナウンス技術に則りながら、角さんも松井アナも、徹底した話術家、話芸家たち・・・昔ながらの端正な上方言葉、京言葉、船場言葉、はたまた河内弁へと至る多彩な関西弁を操る名人上手と共演しつづけたこと。今回の松井アナによれば、上岡龍太郎さんであり横山ノックさんなどなど。ラジオを聴いていても、そんな名人上手から吸収した緩急自在の関西弁、その奥深さは如実です。
何十年も昔、随分以前から、識者と呼ばれる人々の間であ、「大阪弁が変わってきた」という論調はありました。しかしここへきて、この私めの年代ですら、「若い子の大阪弁」にはちょっと違和感を感じるところ、あります。識者意識が毛頭ないので具体的にどこがどうと細かく指摘は出来ませんが、強いて言えば、抑揚が無くなってきたというところでしょうか。関西以外の方がマネする関西弁は、アクセントに抑揚をつけてしまいますが、案外と地元の関西弁は、そこら辺りは平行で、ここで述べるところの抑揚は、いわゆる「強弱」というか、早い話が、喜んでるのか悲しんでるのか、嘆いているのかボヤいてるのかという感情。その強弱があまりにも平坦、というより、聴いていても「面白味」がない。何も、芸人さんではないので、さしたる爆笑などを期待するわけもないのですが、それでも、言葉の最後のボソッとした「捨て台詞」の妙は、関西弁独特。こないだも近所のオバハンの一言で笑ったのが、
「どうでもエエけど、毎日毎日暑いなぁ〜…て、どうでも良かったら、ほな言うなよ」
…誠に、どうでもエエ一言に、何と豊かなオバハンの強弱、しかもテンポと間(笑)。子供のころから聴いて育ったこれこそ独特の、文化。しかも、これが町へ行けば行くほど、濃い深い…。その源流には落語であり漫才であり新喜劇、引いては歌舞伎、文楽、狂言、能…そこら辺りに行きつくところ…。
奇しくもこのあとの「こんちわコンちゃんお昼ですよ!」の冒頭で、コンちゃんが笑福亭銀瓶さんとのトークで「若い人は落語を知らないし、また上方、江戸と元々は都会の芸能だったため、地方の人には根底にそれがない」と。
若いころ、TBS系列のアナウンサーが、千里の毎日放送に集い、毎年「上方芸能を勉強する会」なる講習会が催されていたそうで。芸を鑑賞したあとの質問コーナー、ゲストに呼ばれた桂米朝師をして、地方局の若手アナ、「あの、『桂さん』はね…?」。
確かに、桂さんに代わりはないが、桂さんにも色んな系統が存在することを、若手とはいえ、当のしゃべり手が知らない。百歩譲って地方局、しかも当時の上方落語を取り巻く状況を考えると、であるが、反面、これだけの芸能文化に恵まれた果たして、地元関西の、しゃべり手は…という提言も。
たかがおしゃべり、されどおしゃべり。喋りは熱であり、たとえ拙くとも、聞き手を思いやる心は大事なところ。
話は横道に逸れましたが、それにしても松井アナの、今回再現されました、「横山ノック、大阪APECを語る」には大笑い。ゴアとブッシュがバババババ〜ンで、ヘリコプタがドドドドド〜ン!…擬音を駆使した(笑)、懐かしのノック節が甦ります。上岡龍太郎さんとの思い出も上岡さんの口調や間を忠実に。ものまね名人、きっと「耳が良い」方なのでしょう。
これから先の若い人はこの「ノック節」や「上岡節」を知らずに育っていくのですね。まぁ、それも仕方ないことですが、知らないよりも知ってる方が断然、素晴らしい(笑)。
古いことはそれなりに、少しずつでも皆で勉強しましょう。松井昭憲アナウンサーのまたこういう機会を「さてトコ」やほかの番組でも設けていただきたいものです。
≪どうでもチ〜ラシ〜好き〜ならば…その17「河内家菊水丸 河内音頭生活3333櫓達成記念興行大成功(マンスリーよしもと/1990年8月号)」
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