「さてはトコトン菊水丸」(MBSラジオ/2007年7月6日放送)、『トコトン生ゲスト』は、かしまし娘の正司歌江師匠ご来場。このたび、古巣の松竹芸能復帰で今回はある意味のお披露目。
今回の復帰お披露目。ご本人は「出戻り」とへりくだりつつも(笑)、松竹芸能にとっては「かしまし娘」、それはもう大変な存在。元々はそれぞれ子役で出発しつつも漫才としては、3人姉妹の妹二人、正司照枝(当時・正司照江)・正司花江の両師が「天才少女漫才」として人気を得るものの、年頃に差しかかった辺りの少女特有の照れなどが相俟って芸は頭打ち。そこへ、途中芸界を離れ家計のためにと富山(だったと思います)で女中として働いていた歌江師に声がかかり、ここに三人姉妹の「かしまし娘」誕生…1956(昭和31)年のこと。その数年後、夢路いとし・喜味こいし師、海原お浜・小浜師らを一団とする漫才作家の秋田實氏率いる、元の『宝塚新芸座』を母体とする『上方演芸』社と、戦前の『新興キネマ(現在の松竹映画)演芸部』を母体とする『新生プロ』社が松竹映画資本の下、合併そ果たして『松竹新演芸』、現在の松竹芸能が誕生します。三人となったのは元々所属した『新生プロ』社時代ですが、「照江・花江」時代は戦前の『新興キネマ演芸部』時代から。この経歴だけでも、いかに松竹芸能生え抜き中の生え抜きであるかがしのばれます。
寄席のなかでは最も派手は音楽ショーと、ファッション雑誌を参考とした華やかな衣裳、そして何を置いても見事な話術の三連弾。昭和30年代以降のテレビ時代のトップスター、トップバッターとして、松竹芸能、引いては戦後の関西演芸界を牽引していくのでした。
松竹映画資本、当時の興行でいえば、新派、歌舞伎興行はさて置いて、映画界は「男はつらいよ」の渥美清、喜劇界は「松竹新喜劇」の藤山寛美、そして演芸界は「角座」の女王・かしまし娘と、並び賞される存在だったと言われています。なので、この5月まで所属した事務所のゴタゴタに巻き込まれてしまった歌江師を、松竹が手を差し伸べるのは恩義よりも何よりも、これまでの貢献度を鑑みれば、至極当然なことだったといえるでしょう。
「かしまし娘」の思い出といえば、小学校1年だったと記憶しますが、お正月、家族に初めて連れて行ってもらった寄席「角座」で見た貫禄の高座。テレビでもお馴染みだった例のテーマソングを奏でた瞬間、子供ながらに「待ってました」感で高揚したのを思い出します。テレビといえば、1958(昭和33)年放送開始の長寿演芸番組「道頓堀アワー」(朝日放送)が正司敏江・玲児師の司会でまだ続いていて(〜1983年放送終了)、確か放送が午後2時からの60分。ただ、この真裏には毎日放送が横山やすし・西川きよし師の司会で「モーレツ!しごき教室!!」を放送しており、司会のやすきよに加えレギュラー陣が先日記事にした『吉本新喜劇ビッグ3』こと間寛平、木村進、室谷信雄の各座長勢揃い。タイトル通り、体力の限界に挑んだ肉体系バラエティが、うめだ花月より中継されます。
一方の「道頓堀〜」は松竹系の、今思えばいぶし銀のストレートな寄席番組で、子供がどちらを見るかといえば自ずと、吉本「〜しごき教室!!」。『お前オモロイから吉本へ行け』、また『そこまでテンゴしたら、お前、吉本に売り飛ばすぞ!』と、親の小言にまで登場する、それほどまでの吉本の浸透力。『松竹に売るぞ!』と言うのは余程の演芸マニア(笑)。そんな時代に「道頓堀〜」、見る機会があるとすれば、土曜のお昼、友達の家に遊びに行って、そこにお爺さんなりお婆さんでも同居していれば、必ずチャンネルは6チャンネル「道頓堀〜」。他人の家、勝手にチャンネル、変えるわけにはいきません。宮川左近ショウが唸り、ゼンジー北京がインチキ中国語を操る姿を映し出す画面を眺めながら、「ああ、今日メダル獲ったら、寛平ちゃん10枚貯まってハワイ旅行が当たるのになぁ〜」と、真裏の「〜しごき教室」に思いを馳せたつつ、友達とはソフトビニール人形を戦わせ合う「ウルトラマン」ごっこに夢中になっておりました。
そういう環境で「道頓堀アワー」、いぶし銀の演芸も今の記憶に残る次第なのですが、話戻して「かしまし娘」。子供だった1980年代前半には、演芸のトリというよりも、大村崑ちゃんを含めた4人でコントを演じた姿が妙に残っています。ただ、これが「道頓堀アワー」であったのか、それとも別番組だったのか曖昧な記憶で、それでも土曜日昼間の朝日放送であったのは間違いないはず。また、4人では、70年代後半に同じく朝日放送で、土曜の夕方(5時ぐらい?)に放送されていたクイズ番組「親子でバッチリ!」の司会も担当していて、中身は確か「ズバリ!当てまショー」(フジテレビ)のようなプライス(値段当て)クイズ。「ズバリ〜」と異なるのは、出題商品にまつわる漫才を若手落語家や漫才師が披露する点で、そのコーナーにはレツゴー三匹師や、敏江・玲児師、それに若井ぼん・はやと師、さらにはアフロヘアの笑福亭鶴瓶師に、そうそう、笑福亭福笑師の姿もと、いわゆる松竹芸能オールスター番組でした。「親子で〜」のその後6時から「透明ドリちゃん」だったかな。この流れが土曜の夕暮れ印象的な記憶で、この辺りが、テレビの一番古い記憶…と、またまた話が反れて、再びたびたび「かしまし娘」…。
80年代の大村崑ちゃんとのコント。コントといっても今のようなお手盛りではなく、「金色夜叉」であったり「森の石松」であったりを古今東西の名作に「お笑い」を冠されたパロディ芝居だったと思います。今思えば要するに、この当時の「かしまし娘」、間際で吹き荒れる80年代の若手漫才ブーム真っ只中、テレビサイズに縮まる演芸のステージに見切りをつけて現在の女優業にシフトしていく最後の過程に、崑ちゃんとのコント番組、だったと思います。
ほどなくして、1981(昭和56)年、ここに漫才としての「かしまし娘」は活動停止を表明されました。このときも、ワイドショー「ルックルックこんにちは」(日本テレビ)で、『こういうテレビの時代に、私たちのような漫才は向かない』といった旨の会見の様子を、やはり今も記憶しています。
なので「かしまし娘」といえば、ネタという意味ではリアルタイムではなく、どちらかといえばコントや司会の、あと、当時「ザ・ハンダース」に所属した清水アキラの『歌江姉ちゃん、そんなんズルイわ〜』な、花江師の物真似ぐらいか(笑)。あれから20年以上、これまで色々な機会に当時の漫才、音源や映像を伺うにつれ、その芸の確かさに圧倒され、話術も良し、演奏も良し…オチに近付くあたりに、三人の曲弾きが必ず挿入され、客席から大きな拍手。当時の漫才台本には「ここで客の手を取る」と、拍手を貰う合図まで書かれていたそうですが、その合図の有無に限らず、必ず観客を、自分たちのものと印象付けて…♪これでおしまいかしまし娘…のエンディング、鮮やか!
こういう漫才を、この歳になって今一度見せていただきたいもの。特に「かしまし娘」、歌江を初め、三師が三師とも未だお元気なればこそ、無性にこだわってしまう、「漫才復活」でございます。
今回の復帰お披露目。ご本人は「出戻り」とへりくだりつつも(笑)、松竹芸能にとっては「かしまし娘」、それはもう大変な存在。元々はそれぞれ子役で出発しつつも漫才としては、3人姉妹の妹二人、正司照枝(当時・正司照江)・正司花江の両師が「天才少女漫才」として人気を得るものの、年頃に差しかかった辺りの少女特有の照れなどが相俟って芸は頭打ち。そこへ、途中芸界を離れ家計のためにと富山(だったと思います)で女中として働いていた歌江師に声がかかり、ここに三人姉妹の「かしまし娘」誕生…1956(昭和31)年のこと。その数年後、夢路いとし・喜味こいし師、海原お浜・小浜師らを一団とする漫才作家の秋田實氏率いる、元の『宝塚新芸座』を母体とする『上方演芸』社と、戦前の『新興キネマ(現在の松竹映画)演芸部』を母体とする『新生プロ』社が松竹映画資本の下、合併そ果たして『松竹新演芸』、現在の松竹芸能が誕生します。三人となったのは元々所属した『新生プロ』社時代ですが、「照江・花江」時代は戦前の『新興キネマ演芸部』時代から。この経歴だけでも、いかに松竹芸能生え抜き中の生え抜きであるかがしのばれます。寄席のなかでは最も派手は音楽ショーと、ファッション雑誌を参考とした華やかな衣裳、そして何を置いても見事な話術の三連弾。昭和30年代以降のテレビ時代のトップスター、トップバッターとして、松竹芸能、引いては戦後の関西演芸界を牽引していくのでした。
松竹映画資本、当時の興行でいえば、新派、歌舞伎興行はさて置いて、映画界は「男はつらいよ」の渥美清、喜劇界は「松竹新喜劇」の藤山寛美、そして演芸界は「角座」の女王・かしまし娘と、並び賞される存在だったと言われています。なので、この5月まで所属した事務所のゴタゴタに巻き込まれてしまった歌江師を、松竹が手を差し伸べるのは恩義よりも何よりも、これまでの貢献度を鑑みれば、至極当然なことだったといえるでしょう。
「かしまし娘」の思い出といえば、小学校1年だったと記憶しますが、お正月、家族に初めて連れて行ってもらった寄席「角座」で見た貫禄の高座。テレビでもお馴染みだった例のテーマソングを奏でた瞬間、子供ながらに「待ってました」感で高揚したのを思い出します。テレビといえば、1958(昭和33)年放送開始の長寿演芸番組「道頓堀アワー」(朝日放送)が正司敏江・玲児師の司会でまだ続いていて(〜1983年放送終了)、確か放送が午後2時からの60分。ただ、この真裏には毎日放送が横山やすし・西川きよし師の司会で「モーレツ!しごき教室!!」を放送しており、司会のやすきよに加えレギュラー陣が先日記事にした『吉本新喜劇ビッグ3』こと間寛平、木村進、室谷信雄の各座長勢揃い。タイトル通り、体力の限界に挑んだ肉体系バラエティが、うめだ花月より中継されます。
一方の「道頓堀〜」は松竹系の、今思えばいぶし銀のストレートな寄席番組で、子供がどちらを見るかといえば自ずと、吉本「〜しごき教室!!」。『お前オモロイから吉本へ行け』、また『そこまでテンゴしたら、お前、吉本に売り飛ばすぞ!』と、親の小言にまで登場する、それほどまでの吉本の浸透力。『松竹に売るぞ!』と言うのは余程の演芸マニア(笑)。そんな時代に「道頓堀〜」、見る機会があるとすれば、土曜のお昼、友達の家に遊びに行って、そこにお爺さんなりお婆さんでも同居していれば、必ずチャンネルは6チャンネル「道頓堀〜」。他人の家、勝手にチャンネル、変えるわけにはいきません。宮川左近ショウが唸り、ゼンジー北京がインチキ中国語を操る姿を映し出す画面を眺めながら、「ああ、今日メダル獲ったら、寛平ちゃん10枚貯まってハワイ旅行が当たるのになぁ〜」と、真裏の「〜しごき教室」に思いを馳せたつつ、友達とはソフトビニール人形を戦わせ合う「ウルトラマン」ごっこに夢中になっておりました。
そういう環境で「道頓堀アワー」、いぶし銀の演芸も今の記憶に残る次第なのですが、話戻して「かしまし娘」。子供だった1980年代前半には、演芸のトリというよりも、大村崑ちゃんを含めた4人でコントを演じた姿が妙に残っています。ただ、これが「道頓堀アワー」であったのか、それとも別番組だったのか曖昧な記憶で、それでも土曜日昼間の朝日放送であったのは間違いないはず。また、4人では、70年代後半に同じく朝日放送で、土曜の夕方(5時ぐらい?)に放送されていたクイズ番組「親子でバッチリ!」の司会も担当していて、中身は確か「ズバリ!当てまショー」(フジテレビ)のようなプライス(値段当て)クイズ。「ズバリ〜」と異なるのは、出題商品にまつわる漫才を若手落語家や漫才師が披露する点で、そのコーナーにはレツゴー三匹師や、敏江・玲児師、それに若井ぼん・はやと師、さらにはアフロヘアの笑福亭鶴瓶師に、そうそう、笑福亭福笑師の姿もと、いわゆる松竹芸能オールスター番組でした。「親子で〜」のその後6時から「透明ドリちゃん」だったかな。この流れが土曜の夕暮れ印象的な記憶で、この辺りが、テレビの一番古い記憶…と、またまた話が反れて、再びたびたび「かしまし娘」…。
80年代の大村崑ちゃんとのコント。コントといっても今のようなお手盛りではなく、「金色夜叉」であったり「森の石松」であったりを古今東西の名作に「お笑い」を冠されたパロディ芝居だったと思います。今思えば要するに、この当時の「かしまし娘」、間際で吹き荒れる80年代の若手漫才ブーム真っ只中、テレビサイズに縮まる演芸のステージに見切りをつけて現在の女優業にシフトしていく最後の過程に、崑ちゃんとのコント番組、だったと思います。
ほどなくして、1981(昭和56)年、ここに漫才としての「かしまし娘」は活動停止を表明されました。このときも、ワイドショー「ルックルックこんにちは」(日本テレビ)で、『こういうテレビの時代に、私たちのような漫才は向かない』といった旨の会見の様子を、やはり今も記憶しています。
なので「かしまし娘」といえば、ネタという意味ではリアルタイムではなく、どちらかといえばコントや司会の、あと、当時「ザ・ハンダース」に所属した清水アキラの『歌江姉ちゃん、そんなんズルイわ〜』な、花江師の物真似ぐらいか(笑)。あれから20年以上、これまで色々な機会に当時の漫才、音源や映像を伺うにつれ、その芸の確かさに圧倒され、話術も良し、演奏も良し…オチに近付くあたりに、三人の曲弾きが必ず挿入され、客席から大きな拍手。当時の漫才台本には「ここで客の手を取る」と、拍手を貰う合図まで書かれていたそうですが、その合図の有無に限らず、必ず観客を、自分たちのものと印象付けて…♪これでおしまいかしまし娘…のエンディング、鮮やか!
こういう漫才を、この歳になって今一度見せていただきたいもの。特に「かしまし娘」、歌江を初め、三師が三師とも未だお元気なればこそ、無性にこだわってしまう、「漫才復活」でございます。
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