
♪毎度〜皆様〜
おなじみの、
お聴きいただく一節は
流れも清き宮川の、
水に漂う左近ショー〜
男同士でいたって
色気はないけれど、
熱〜と〜力〜で、
今日もまた〜
しっかりやりましょ、時間まで!
それでは陽気にアンアア〜ア〜アン!
務め〜ましょう〜〜
本日、「さてはトコドン菊水丸」(MBSラジオ)、『トコトン生ゲスト』にご来場の暁照夫・光夫のご両人、その暁照夫師匠が在籍した、音曲漫才「宮川左近ショー」のテーマソングから。子供のころにテレビで見た、お馴染みのテンポにリズム。しかし、本日番組のなかで、河内家菊水丸師所蔵の、「〜左近ショー」結成当時のレコードの音源がかかりましたが、これがまた、今まで聴いていたテンポよりもグッとゆったりとした、しかも、照夫師、松島一夫師といったメンバーを折り込んだ長尺の詞がついて、まさに正調版。貴重な音源を伺いました。
宮川左近師がお亡くなりになったのは1986(昭和61)年。61歳とまだ年齢もお若く、それでも今の感覚とはほど遠い、十分な貫禄と風格でした。そんな左近師の命日というのが、偶然にも本日9月21日で、当然この前後は左近師が今日も明日にもというバタバタしたなか、おそらく照夫師が単身で三味線漫談か、もしくは松島一夫師とコンビで向かったのかはともかく、事前に引きうけていた、左近師死去、当日の高座に、弟子として同行していた光夫師を初めて立たせたそうです。本日はいわば左近師命日にして、光夫師にとっても初デビューという、まさに演芸界の新旧のバトンタッチが成された歴史的な一日といっても良いでしょう。
今回の番組出演はまさに偶然の出来事で、照夫師はより一層の感慨に耽られていました。
ついでに思い出しました。左近師が亡くなった1986年9月というのは、確か前後して、六代目笑福亭松鶴師もお亡くなりになっていて、つまりは両師を抱えた松竹芸能にとっては、漫才と落語、一挙にその両巨頭を失うことになったのです。テレビやラジオでも両師の追悼番組が確か立て続けにバタバタと、慌しく放送されたのも記憶しています。
左近師を失った照夫師は、結局、松島一夫師とも相談し、「トリオでなければ、ましてや『左近ショー』という冠が付いた看板をこのまま二人で維持するよりも、お互いに好きな道で頑張ろう」と、つまりは発展的解消。ほどなくして、光夫師を本格的相方に招いての「暁照夫・光夫」結成…以来今年でコンビ20周年。来年には芸歴60年を迎えるほどの大ベテラン、当時としても40年のキャリアを誇り、ましてや「〜左近ショー」としても一世を風靡した照夫師と、まったくの新人であった光夫師。コンビ結成当初のお互いの立場を考えても、それは筆舌尽くし難い苦労があったと思います。あれから20年の、このところの光夫師による、「照夫師ころがし」というかあしらいぶりが達者。それに翻弄されつつも、照夫師はさすがの名人芸、お馴染みの曲弾きでグッと引き締めて、
「もう〜、何でこんなに上手いんかしら!」(出た〜! 笑)
演芸ファンのみならずミュージシャンにも信奉者が数多く存在する、男同士の三味線コンビ立ち高座、今や貴重な存在。たまにチラシを見ずにB1角座、フラッと出掛けたときに、ご両人の出番に遭遇すると思わず「儲けた!」、そして最後は超鳥肌!。お二人の生の高座も是非、ご覧いただきたいものです。
話戻って、宮川左近ショー、宮川左近師匠。入門は1938(昭和13)年、三代目宮川左近へ入門して「宮川左近丸」。1950(昭和25)年に晴れて、四代目左近を襲名。そんな三代目左近には、アノ、田中角栄氏が
「実はファンでねぇ、よく子供のころ、左近の浪曲を皆の前で真似たものだよ」
と、コレはあるテレビ局の控え室で同席した桂米朝師の談。
「で、角栄さん、そのときに『左近丸』という弟子がおったでしょ。その『左近丸』が今、四代目を継いで『左近ショー』という浪曲漫才で頑張ってます」
「おお、『左近丸』おったねぇ!。へぇ、あの『左近丸』が浪曲漫才?今度、いっぺん聴いてみなきゃイカンねぇ!」
と、話が弾んだ…。後に米朝師は著書(『米朝・上岡が語る昭和上方漫才』桂米朝、上岡龍太郎・著/朝日新聞社)などでも語っておられます。
時の大物政治家もこよなく愛した「宮川左近」という看板、そして浪曲という芸。そういう下地があってこそあのパワフルさとユーモア。例え晩節色々あったにせよ、ある時代の国民のハートをガッチリ掴んだ「まぁ、その〜!」。思えば物真似にもされたこの「まぁ、その〜!」も、ある意味代表的な、角栄節と呼ばれたこともあって、その発声は何となく浪曲に通じる部分を感じさせます。「美しい日本」が絵に描いた餅に終わって、ただいま次期総裁選び、上へ下への大騒ぎ…も、既にほとんどの大勢は判明しつつあるようですが。ともかく、本当の美しい国を目指すのであれば、やっぱりユーモアや義理と人情が根ざす大衆文化への理解のある方に、そのトップへ立っていただきたいと思うのですが…と、これは余談。
※どうでもイ〜ラストアーカイブス…過去の「落書き道頓堀アワー」
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